深い河

深い河 (講談社文庫)

深い河 (講談社文庫)

どーーーーーーん…
簡単に言ってしまえば心に瑕がある大人たちがインドのガンジス河に向かい、当人たちの闇と向かい合うお話なのだが、なんかなーもうなーそういうことじゃねえんだよなー…。五年くらい私の部屋の本棚で肥やしになってたのだが、あまりにも色々とタイムリーでなあ…。今まさに読むべきというか、待ってててくれたんだなあという感じであったよ。なんというか、生意気な事をいうなら、五年前だったら磯辺の、美津子の、沼田の、木口の、大津の、登場人物たちのありように涙したと思うのだが、今は、いちいち自分の事が浮かんで、胸が裂けそうであった。ビックリするくらい誰も報われないのだが、ないのだがなあ。だからこそなあー。ぐぉーーーん。


何年か前爆笑問題の太田がこの深い河をラジオで強く薦めていて「どんなにちっぽけで見苦しい人間でも、生きていていいのだ」という事を救いとして言っていたのだが、この小説自体がそういう仕組みになっている訳ではなくて、この登場人物たちに触れてそう思う気持ちの太田自身の優しさと温かさが彼の救いになっているのだと思う。外から何かが迎えに来たり降って来たりすることはない事を、そして仮に来たとしてもやはりなんの救いにならない事も知っているおとなの救いというのは多分そういう事だというような事を考えました。ごーーーーん。