私は好きでマンガを読んだり描いたりするが、そこにはいつも人じゃなくて妄想とキャラクターを求めている。人間なんてほっといても関わるし、どんなに拒絶しても混ざりあうことがないだけでその図々しさと厚かましさと知ったかをもって心に入り込んできて、泣けるほどの温かさと優しさをまき散らして去って行く。大嫌いで大好きな、未熟な私には刺激が強い生き物なので、マンガには違うものを求めていて、自分が傷つくおそれのないところから、生々しいものを記号に変えて美しいだけのものを摂取したり吐き出したりしたいと思っている。
だから、現実の政治の視点から、二次元のキャラクターを裁判にかけるような決まり事が進行しているのを聞いても、どうしても実感がわかない。そういう人たちは、マンガばっかり読んでるから結婚できなくて貧乏な人間になるみたいな考え方をするみたいだが、私の目からは、そんなことをほざける人は生きている嫁、夫、娘、息子、友達、大人、子供、社会を記号として見ているようにしか思えない。個々の心に都合があるってことを知りもしないか容易に無視できる、何かの記号の一部が言っているようにしか聞こえないのだ。