ペテン師一山400円

ペテン師一山400円 (新書館ウィングス文庫)

ペテン師一山400円 (新書館ウィングス文庫)

とっても楽しかったです。中学二年の夏、曾祖母が危篤と連絡があって純太は本家を訪れたが、その一族は詐欺師の一族で、遺産を相続する条件として「一族らしく詐欺で目標金額を達成したもの」と出され、あれよあれよとうさんくさい親戚のお兄さん研士と組んで目標2000万の詐欺ゲームに参加することになるが、実は純太も一族の血を引いて特殊な能力があって…という、毎度よくぞここまでというくらい無茶な設定を立ててきてますが、できること・できないこと・マンガっぽいたのしさ・情に訴えてもいい所・悪い所にはっきり線がひいてあって、てんこもりな割に何も考えずに気持ちよく楽しめました。

「詐欺師の話なんてめんどくさいなー」とか「後味悪かったらやだなー」とか若干思ってたんですが、知識がちゃんとお話に消化されていてわかりやすく(職業うんちくが鼻につくBLとかあるよね…)いかにも現代っ子ながら性根がまっすぐで少年らしい純太と、スカして頭が切れて腕の立つ詐欺師なのにいざというときあんまり頼りにならないギャップがいい研士とのコンビを通して、騙される人の都合の良さというか、自分の都合で物事をよいほうに考えてしまう調子のよさが意地悪でなくハッキリ書いてあっておもしろかったです。バーさんのみもふたもなさとか、ツンデレおじさん捨身のこまやかああーな描かれようとか(ひいきとしかいいようがない)キャラもいきいきしててよかったです。彼らが好きになったのでもう一本の話も彼らを中心にしてほしかったのですが、パートタイムナニ-もそうだったんだけど、新キャラ足して話を回して研士が空気気味になってるのがちょっと残念だった(^^;)あと嬉野さんは女書くのスキじゃないんだろうか(^^;;) 多少偏っても無理せず書きたい事だけ書いてくれると嬉しいナリ。