幻魔大戦 1

幻魔大戦 (1) (Aspect novels)

幻魔大戦 (1) (Aspect novels)

未来を見る力を持つルナ姫は、宇宙意識フロイより全宇宙の破壊者幻魔の襲来を識り、それに対抗すべく世界中から超能力者を探し求め、東丈を見つけ出すが…というド基本…というかもうこの手のお話の先祖くらいの領域にいらっしゃって、例えば今のチビッコがご家庭で楽しめるRPGの先祖のひとつのDQ1をやってもどっかで見たような気持ちにしかならないように、何番煎じとそれでもごくまれにおこる進化を作品と信じて享受し続け、マスコミが本当の事よりも割と偏った考えと力に寄っている事も、新興宗教の正体も、受験の行く末も、梶原一騎イズムがもたらしたものも、知識として公開されてしまって、まえがきの「人類の中には、神とか悪魔、霊とか玄妙な言葉を耳にしただけで、頭がくわっと灼熱するタイプの人々が結構な割合で存在する!」という叫びもナチュラルに「はあそうですね」なんて言われちゃう今日び、「いかにも当時」なこのお話を読む意味はなんだろうとかチラッと思ったりしましたが、人の心も起こる事も過剰に苛烈なこの世界には、真似パクリリスペクトオマージュ諸々に寄ったら決して掬い取れない見苦しいまでの個人と誰にも犯せない清潔さがあって、すごいなあと思いました。飛行機が落ちようが、大宇宙の意志を聞こうが、学校だろうが、家庭だろうが、ずーーーっとアクセルもアンプも全開フルスロットルがなりっぱなし手加減なし。というか男性が書いたと思えん位女性の言葉の刺さりっぷりがすげーー正直全宇宙を無に返す幻魔より厳しい(笑)リスペクトじゃ書けないぜ。どこまでもどこまでも人間味に満ちあふれていて、先祖って大事だなあと思った。