ばいばい、アース 1 理由の少女 (角川文庫 う 20-1)

ばいばい、アース 1 理由の少女 (角川文庫 う 20-1)

全ての人々が動物の毛皮や牙を持つ世界でただ一人何も持たずに生まれたベルが、巨大な豪剣と共に自らの生まれを求め扉を開いて行く道行きの始まりのお話。
「次に期待」というのは、序盤だからなにも始まってないからとかアレがたりないから次でコレが加われば、とかいう感じで使われると思うのですが、これはもう全てが揃っていて、それらの内側から輝きが漏れているのが見えていて、広い広い無常の風吹く美しい世界で彼らが出会って人生を触れあわせたら、何かが起こるしかないという予感に満ちたはじまりで、期待せざるをえないというか、大層良かったです。この命と花が沸き返る世界でたった一人異端のベルの孤独が物語の始まりな訳ですが、人の孤独が、大切に、でも隠すことなく大らかに、時にはなやかに、時にしんしんと描かれていいなと思いました。