カラクリ荘の異人たち

カラクリ荘の異人たち?もしくは賽河原町奇談? (GA文庫 し 3-1)

カラクリ荘の異人たち?もしくは賽河原町奇談? (GA文庫 し 3-1)

だめだよ! そんなに私を甘やかしちゃあ!! 泣いちゃうぞ!!

心に影のある高校生、太一は故あって家を出て賽河原町の空栗荘に下宿することになったが、その町は妖怪と幽霊が行き交うあちらとこちらの境界の町だった…とかいうお話なのですが、この「妖怪が行き交う感じ」が、妖怪が出て来るってだけでなくて「ああ、いそう」っていう空気が文章から出てて、それが太一の朴訥なんだけど何かを秘めている感じと触れあったりすれ違ったりするのがすごくよくってうっとりしました。
ガミガミとした下宿賄いのお露さんとか、関西弁の目つきの怖い霊能者ミヨシとか、拝金主義者の国家公認の術者十遠見とか、市松人形の付喪神のアカネとか、出て来る人たちが役に立つ立たないの部分じゃない何かが、ある日突然やってきた太一とともにぜつみょーにかみあってて、というかイチイチツボでもうメロメロですバタッ。続きはとっといて大事に読もう…。