モノクロームの残映

ヒジョーにイヤな話でしたがヒッジョーーーにおもしろかったです。お腹いっぱい。げふっ。
何がイヤだったかというと、いつになく桝見「一人」にイヤな所が集中してたからです。そのイヤさの描きようがシンプルかつ懇切丁寧で説得力がある所がなんとも気持ちの逃がしようがなくてムニャムニャしました。今までは遼個人と組織とか気分とか薄らボンヤリしてるものと向かい合うさまが凄く丁寧に書かれていたのに、若人から見る独り身のいい年した女ってこういう事言っても違和感いないよねー押しにちょっと見えた。いや枡見ってTOGOの気分を表してるのはわかるのだが、大佐とかセイののありようが、男だとこーなるのかよとか思ったりしたムニャムニャ(うるさい女)
イヤな所を桝見に担当してもらった分(いやそのお陰だけじゃないけど)いつになく沢山の人たちのありよう、気持ち、行動が濃く描かれていて、350P余があっという間でございました。「得体の知れない巨大な何か」と「目に見える個人」が遺産を挟んで作用し合って崩し合うという至ってシンプルなお話を、説明でも犠牲でもなく(説明も犠牲もあるがそれによって解決することはない)個々の、何より遼の心のありようが愚直なまでに幾つも幾つも重ねられることでがっちりと読まされました。もー少し遼と万里絵の感じが10代らしいしなやかさとか瑞々しさとかがあってくれると言う事ないのだが、まあそれは望みすぎだよな…。ああ、ペアのパジャマ着てるのに、動揺してるのに、この嬉し恥ずかし感ゼロっぷりはいっそ見事だ…。