フェアリースノウの狩人

うーうーおもしろいよーっ! ばたばたばた!!
このシリーズはしょーもないもの読んじゃってたまったストレスを全部流してくれますよ。おかげでいざという時の為のおとり置きになっちゃってナカナカ読みすすめられませんよ。本末転倒。


漫画とかで、所謂物語の「悲劇的なポイント」で表情をベタベタにアップにしたり、セリフをわざとらしいフォントに変えたりされるとものっそい萎えませんかね。そういう時こそカメラは引くべき…というか、引いて全体を俯瞰すると悲劇っぽい事がしたいだけで別に悲しい話が描きたい訳じゃなく穴だらけな事がバレちゃうから小細工をするのだろうな。えーとまあ引いても、引くからこそ「悲しい」お話がかけないなら、人が死ぬ話なんてみっともないから描かんでくれとか思う訳ですよ。
このフェアリースノウ〜は何の矛盾もなくバランスが悪くて、全く無理なく歪んでいて、正しい筋道で転げ落ちていく人たちが全く当たり前に生活していて、だからこそその人達が遼の力と重なったとき本当にどうしようもないことになるのですが、でも読後はそんなにドライな気分じゃないんだなあー。遼は頼りないなりに「こう在ろう」と思っていて、それは人として気持ちのわかる正しい心ばえなんだけど、間違いなく物語の希望と光なんだけど、その遼でさえ何かを得たものは絶対に何かを損なって行くという苦しみから逃れる事はできず、「ちゃんと堕ちて行く」人々の地獄を知りながらもがかねばならず、なんだか悲しいながらもものすごくフェアなんだな。そのどこか冷静な公平さが、誠実さと、ミニマムな暮らしの壁の向こうに地平の果てまで続く世界の広がりと、悲しみを感じさせるのだな。うーんしびれる。かっこいいのう。
つーか裏次郎って氷澄の親父だったのかい。なんつーか寄り添えないくせに偉そうに何かを残してやろうとしてる感があるのがなんとも父性って感じですなあ。ああここにも無理なくどうしようもない人が。