あやかしがたり

あやかしがたり (ガガガ文庫 わ 3-1)

あやかしがたり (ガガガ文庫 わ 3-1)

あやかしが見える侍・新之助と、拝み屋・ふくろうと、不思議な力をもつ娘・ましろが出会い、色々な思惑がある中共新之助の故郷に赴く事になるが…というお話で、話の骨組や見せ方はベタベタコテコテの時代劇でありながら、展開やキャラ(特に新之助)はとてもライトノベルっぽいのですが、それに入ったあやかし要素がうまいことクッションになってかみあってて読んでて新鮮でした。正直ちゃんとパーツを整備して無駄を省いたら(というか同じような事をヒトツにまとめたら)もっと読みやすくなるんじゃとか思わないでもなかったんだけど、その無駄というか、あっちへウロウローこっちへウロウローとしてるうちに情がわいている。ような気がする。会話とかそれぞれの人生と思惑を軸にやってて、合わせてる訳じゃないのにかみあっててリズムと人間味があってよいなと思いました。つーかふくろうが謎と合わせて出来過ぎ超人でズルいとか思った(笑)つーか素性を明かさないのはホントにずるかないか! いいけど!
ライトノベルらしく新之助君がまあー「もうなんべんも聞いたよ」ってくらい過去の事とか自分の事を振り返ってくれる訳ですが、ここでも「どうにもままならない事を吸収してくれる存在」のあやかしが、上手い事私の心の緩衝剤になってくれてそんなに気になりませんでした。そうだな私妖怪とかアヤカシとかそういうもののの何がスキかと言うと「人間は(自分自身のことでも)知らない事とかままならないことがあって、何かに任せてる」というのびしろというか余裕のようなものがいいんだよな。吸収消化できないことがあって当たり前みたいな。ヤな人はそこが納得いかないのでしょうが。