俺の妹がこんなに可愛いわけがない
- 作者: 伏見つかさ,かんざきひろ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/08/10
- メディア: 文庫
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京介が平凡大好きとか妹キライキライとかヒネたこと言いながら、おさななじみのゆるゆる麻奈実さんとバカにしたような事言いつつも存在を受け入れ合っていたり、妹がほんとうに心細いことになれば何かと世話を焼いたり、オタク特有の特殊なコミュニティを見て気絶しそうに驚いても引いても拒絶したりせずいい所を見出したりして、なんとも根がフツウーーのいいヤツでよかったっす。つーかすげー幸せな男だよね(笑)自覚ないんだけど、幸せが無償で注がれるもんじゃないとわかってるというのが言うまでもなく言葉の端々に出ててなんだかすごく好きになってしまったです。いたら価値が分からない良さが絶妙〜に書き出されてて、ニコニコしながら読みました。
オタクになりたての感じとか「やめようと思ってやめられるもんじゃない」兄妹のありようとかの描写が細かくて楽しかったのですが、凡庸に普通に人の気持ちがわかる兄ちゃんが、人並みに事なかれで臆病なくせにたったひとりの妹の気持ちを守るためにうっかり戦っちゃったお話としてすごくよかったです。沙織さんが京介のいい所を分かってくれた時なんだか嬉しくなってしまいましたよ。
以前哀川翔がラジオで伊集院に「俺不良にガム買ってこいって言われる方だったんだけど、買って来るべき人には本気で買って来てました。哀川さんは是非買いたい人です」(だったかな…)的な事言われてて「ガム買うヤツも不良なんだよね」とか返してたのですが。ラノベとか小説でよくオタクが出て来ると「一般人」が気持ち悪がったり迫害したりしますわな。そーいうの見るにつけ「本当の一般人って気持ち悪さが分からないと思うんだけどなあ」とか思ってたのですが、いかにも不良に例えるならガム買う事すら縁のない感じの、オタクに対して驚きつつも嫌悪とかは特にない京介の描きようにヘーとか思いました。徹底した凡庸平凡さに、それもナカナカの個性よのうとか思いました。