わたしを離さないで

わたしを離さないで

わたしを離さないで

ハアアアアアアアーーーーーーーー……。バタッ。
もう何も言わずに気絶ですよ。沢山本読む人にはどうなのか知らないが、私はあんまし読まない中での出会いだったので色々衝撃…とはちがうなあ、とにかく読んでる間大変だった…。泣きもしなかったし、ブルーになった訳でも、生活に支障が出た訳でもないんだけど、読んでる間心がヒーヒー言ってて、でもページをめくる手が止まらなくて大変だった…。うああ。


全く知らない人間と、愛する人間…とまで行くまでもなく一言でも話した事がある人間の死は、大自然から見たら同じでも実際生きてる人間には全く違う物に感じるもんでして、その業をグイッグイと押して来る話だった…。「きれい」とか「こころがうつくしい」だけで人間を「選ぶ」だけのことなら「自分」が参加してない(つーか限りなく軽い)ことだからいつだって忘れる事ができるけど、訳知りな笑みへのささいな腹立ちとか、その笑みを起こす理由とか、1人を外して2人で何かを共有したときの高揚とか、後ろめたさとか、誰かをつなぎとめたい気持ちが起こす事とか、喧嘩になるまでもない日々心に降り積もって行くこととか、後になって分かる事とか、絶望とか、愛情とか、記憶とか、思い出とか、当たり前すぎて離す時にようやく気付く繋がれた手を波が分かつ時まで紡がれる「あなたたち」と「自分」がいることによってしかできない物語は、何があったって手放すことはできないのです。それがねえ、もうもうもう…。
31才の主人公が世の中から隔絶された学校の中で生活する少女時代を回想する始まりからもう未来は決まってて(うああ…)でもそれは絶望というより静謐とかいう感じで、厳然としていて、悲しいとかやるせないとか凄く感じているのにそれだけに支配されてしまわないのが印象的だった。「隔絶された学校」で大体想像が付くし、おおむねその通りなんだけど、人間の物語ってそんな事じゃねえんだよなあああ…。ああ読後この表紙が効くぜええ…。