我が館にさまよえ虚像

戦闘服オーフェン臭うだろうなあ…などと思いつつ18冊目。ほんとに遠くへ来たもんだ。


なんか「そう思っただろうけどこうだよォーん」みたいな匂いの見せ方とか「ネットワーク」とか「情報持ってる方が上」という観念そのもののダミアンとか、いかにも今時なねちっこい話で大層消耗しました…。それでも読み切った、ワタシの秋田さんへの信頼と愛を分かりやがれコンチクショウ!! 読んでよかったがな!! でもどうせ今時の子にはワタシにとってそれがどんなに大変なことかわかりゃせんだろう!! だって平成生まれの子は物心ついたときからこんな世界だったからだ! ハーハー。
オーフェンが善意が一番迷惑だめいたこと思ってた時、小説家にとってワタシみたいな愛だけで思い込みの激しいアレがスキコレがスキ勝手に騒ぎ立てる読者が悪意がある人より結構面倒だったりするだろうなあテヘとか思いました…。フフフ…。知ったことじゃないがな! (やっぱり迷惑だ)


いやあ毎度すごいなあロッテーシャ。この徹底した愛のなさは何事だろう。オーフェンとの対峙で地味イーにめんめんと描かれて来た、何も悪いことしてないのに何かイラッとする、どこか当たり前のことが欠落している感じって、人としての情でなく超常の力によって生を獲得して来たからなのかね…。かわいそうっちゃかわいそうだが、ホントに天涯孤独ただ一人で地に四つん這いになって絶望してるっつーのに、事情がやっとわかった読者からすらも愛されてない(笑)スゲー。あそこで尚レティシャに縋ろうとした時、ホントに無理のないことなのに大半の人間がイラッとしたんじゃなかろーか。絶望をタテに、愛する痛みを知らないくせに(知る機会も必要もない…)愛という名の無償の保護をヨコセヨコセと世界に訴える少女。ああまたなんて今時な…。


「領主」に大切なことを任せてしまったためになくしてしまった自分をいかにも自然にとりもどしに行こうとするクリーオウと、「領主」に何もかも捧げて何も知らずに最高に幸せな犬死を果たしたウィノナと、なんかどこまでも人生は象徴とか状況にのみ流されて決まるのではないのよというのをさりげなーくやっててええのう。どっちが幸せか…以前に比べるようなことも言わないし。あくまでこっちに任せてくれるのだな。任せてくれると言えば、オーフェンがマジクに言ったことって太陽が東から昇って西に降りて行くようにアタリマエーなことなんだが、マジクはどこまでも納得しないんだな〜。この師弟18冊目にして言ってること同じ(笑)力があろうがなかろうが、本当に望んでいる事をやろうとするとちょっとばかり時間がかかって、本当に知りたかったことは全部終わった後「あれ?」程度にわかるかもしれないだけのこと。でもあたりまえで迷うマジクの心をつぶして平らにするようなことはしないのだ。だってわかるわけがないから。年月で得ることを持ってるだけで偉い訳でもないから。


しかしそれにしてもまあアザリーってどこまでいってもオーフェンの100分の1の働きで万倍の仕事をしますね…。レティシャもケガしてただけなのに万倍男らしくてステキじゃのう。