オーキスの救世主

フワーすげえーこれ当時(1994.8)リアルタイムで読んだ人はビックリしたろうなあー。それこそあの事件の後ならこういうお話は雨降った次の日のタケノコのよーにポコポコ出てましたが、これはまさにその時。フワー作家ってすげえなあ…。思えば内向的な主人公ってイカリシンジ君が象徴的に現れた後は何のジャンルでも手を変え品を変え死ぬ程生み出されて海の藻くずのように消えて行きましたけど、遼が生まれたのも(まあ過去色々な作品の影響は見えるにしてもまさにその時という意味で)これまたそのほんの少し前。資料だけでなく空気をもとに書いてるのねーってそんなこともっとちゃんとした言葉で死ぬ程言い尽くされておるのだろうね(^^;)このお話はとても評判が良いと聞いてて、読んでる間中あの事件の後だとばっかり思ってたから夢中で読みつつも「あー書評をする人って、皆が思ってる漠然としたものを鮮やかに繋げて形にしてみせたものを傑作って言いたがるよね」とか頭のどっかで思っていたのですが、いやあとんでもねえー失礼しました(^^;;)


しかしアレですね、ワタシの年になると「昔の特に話した事もない同級生の突然の呼び出し」と来たら宗教かネズミ講か押し売りかとしか思いませんが、遼君のような若人はそうは思わないのね〜アハハンと思ってからズーッと一点の迷いも曇りも矛盾もなく「オーキス」という団体の奈落にまっさかさまに転がり落とされてこわかったですうううーーオヨヨー。つーかこのお話遺産の力ってことになってる優しさがなお怖いですううーえぐえぐ。
んで親が子を孫を私物化するということがまた今日びとつながってて、あの事件から今まであんなことがあったのに何にも答えが出てないのがまた凄まじい事でございます。作家ってすごいわあ。