桜田家のヒミツ 〜お父さんは下っぱ戦闘員〜

桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員 (電撃文庫)

桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員 (電撃文庫)

面白かったーー! これまた最後までいっき。
悪の組織が誘拐した最高の頭脳を持つ最悪に高慢ちきな麗華お嬢様を、職がなくやむなく従事している下っ端戦闘員の桜田源之助の一家が預かる事になって…というお話で、正直投げっぱなしな所もふたつみっつあるのだが(せめて間章が7章の後にもあればうまく締まったんじゃ…)桜田家と麗華お嬢様の心の動きようがあったかくてよかった。なんだかライトノベルにおいて青春の敵と描かれがちの母親ばかり目に付く昨今、芙美枝かーさんのあたたかさがし沁みるんだぜ。
「嫁が大人しくしていればうまくいく」とか「男が大黒柱であるべき」とか「好きとか言わなくてもわかる」とか「男尊女卑」とか一般論として言われると「 ケ ッ 」って感じですが、優しさと思いやりを育んでいる桜田家の生き様としてのお話で大変好ましゅうござった。「少年の神話」とかそういう描きようが大好きでグッときた。どこがダメとかここが足りないとか言葉で言えばいくらでも指摘できるのだが、個人の気持ちを立てることが、甘やかすでなく大切に書かれていて、私はそちらの方に価値を感じますです。そのままのあなたでいて。…無理かなァ(^^;)


ところで後書きに「小説家を目指して10年間、一次選考に26回落ちて来ました」とあって、それで読んでる間モヤモヤと思っていた事が形になったのですが、あのー、そのー、なんというか、物書きとしてのその一途さ、ひたむきさ、真摯さを、何故、何故に 電 撃 大 賞 に 向 け た ん で し ょ ー か ? ? 電撃文庫読むような若人にはその真面目さもあったかい人情も説教臭さにしかならんのでは…(ムニャムニャ)というかプロの編集の選考委員はそう判断するんじゃ……(ウニャウニャ)私は感想ごときを売り手とか版元視点から語るかのよーな感じが大嫌いなのですが、何かそー思ってしまった。