死神姫の再婚

死神姫の再婚 (ビーズログ文庫)

死神姫の再婚 (ビーズログ文庫)

家柄目当てで望まれた結婚式で夫が謎の死を遂げた事から「死神姫」というあだ名をつけられた没落貴族のお嬢様、アリシア。次にアリシアを望んだのは、その二つ名と家柄を買うと臆面もなく言い切る悪名高い「強」公爵カシュヴァーンだった…。と書くとムチャクチャ荒んだ話みたいなんだが、つーか細かい事をイチイチ挙げて行くとかなり殺伐とした話なんだが、すげえよーヒロイン1人で話の雰囲気が全く塗り替えられているー乱暴でもガサツでもなくやせっぽっちでまあまあ可愛い?(挿絵がその辺の微妙な所を余す所なく再現しててスゴい(笑))だけなのにこんなに力強いヒロイン初めて見た(笑)
カシュヴァーンの正妻の座を狙うメイドにイヤミを言われても、おせっかいなお坊ちゃんに「あなたを助けたい」と使命感をぶつけられても、まったく気付かず礼など言ってしまうアリシアに二の句が告げられない人々が面白かった。イヤミにしろ使命感にしろ結局の所受け取る方にも発信する側と同等の虚栄心や被害妄想があるから成り立つ訳でして、没落貴族のどん底生活が当たり前でカシュヴァーンに「買ってくださってありがとうございます!」と心の底から言い切るアリシアには丸で通用しないそれらの言葉が言った当人達にブーメランのように跳ね返って行く様はナカナカ痛快。アリシアの生き汚いまでの純真?さに、だんだんほだされていくカシュヴァーンもかわいかった。